お知らせ

琉球大学キャンパスMaaSの実証実験を行いました
―約59%が自動車から公共交通へ転換!産官学連携でキャンパスMaaS導入に向けさらなる検討を進めます―
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに目標11:住み続けられるまちづくりを目標13:気候変動に具体的な対策を

 琉球大学 工学部工学科 教授:神谷大介(島嶼地域交通課題解決学術ネットワーク)と八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:高橋 努)は、共同で琉球大学におけるキャンパスMaaS※1導入に向け、大規模な実証実験を実施しました。
 本実証実験は、通学の公共機関の利用をインセンティブ(OKICAポイントもしくはAmazonギフトカード)により促進し、自動車利用を抑制することで、交通集中や駐車場混雑の緩和を目指す取り組みです。
 国土交通省の「令和6年度 共創?MaaS実証プロジェクト」の【共創モデル実証運行事業】に採択されており、沖縄県や地元3自治体(宜野湾市、西原町、中城村)、沖縄都市モノレール株式会社や株式会社琉球バス交通、那覇バス株式会社、沖縄ICカード株式会社など多くの関係者と連携して実施したものです。

<実施詳細>
 モニター:登録申込者214名(琉球大学の学生)
 実施期間:2024年11月25日~12月20日および2025年1月14日~1月31日※2

 詳細についてはこちらをご確認ください

 沖縄県はマイカー依存率が高く、特に琉球大学の立地する宜野湾市周辺は通学?通勤目的の自家用車利用が主な要因となって顕著な渋滞が引き起こされています。琉球大学においても駐車場における日中の駐車率が90%を超えるほか、学内駐車場で接触事故を誘発するなどの課題があります。
 そこで琉球大学ではキャンパスMaaSを実現することで、自動車利用の抑制と公共交通の利用を促進し、琉球大学周辺における交通集中の緩和と構内駐車場の最適化を目指しています。

※1 キャンパスMaaS:マイカーを所有しなくても充実したキャンパスライフが実現できるモビリティサービスのこと。
※2 2025年1月14日~1月31日は追加調査として実施したものです。

実証実験の結果について

 本実証実験を通じ、自動車利用者の59%が公共交通を利用し、マイカー利用としては全体の17%が抑制され、キャンパスMaaSの有効性を確認いたしました。

■本実証実験における交通手段転換状況
 実証実験にあたって、通常時の交通手段状況を確認したところ、モニター登録者の約半数(51%)がマイカーや送迎などの自動車利用にて通学していることが把握できました。
 実証実験期間中に自動車利用者の約59%が公共交通を一度以上利用し、さらに期間中の通学のうち、公共交通やその他に転換したのは約17%におよびました。

■公共交通の利用実態の把握
 本実証実験では、沖縄ICカード株式会社から提供されたOKICAの利用履歴から公共交通の利用実態を把握することができました。
自動車から公共交通に転換した利用者は、乗り換えなしで大学まで1本で移動できるバス路線の利用が多い傾向があり、また、大学近くにバス停のある高速バスの利用も確認されました。その一方、ゆいレール(モノレール)やバスの乗り継ぎは少数であることが分かりました。また、特徴として特定の曜日や期間を定めた利用が見られたこと、想定に反して晴天時と雨天時での数値的な違いは見られませんでした。
 加えて、自動車利用と比べて、公共交通利用時は所要時間が伸びる傾向にあり、約1.6倍程度の所要時間の増加が見られました。

■大学周辺の混雑状況の把握
 弊社のサービスであるAI交通量調査「TRAVIC」を使用し、大学周辺の混雑状況を把握しました。ナンバーの読み取り結果から、大学周辺から大学までの自動車のアクセスにおいて時速5キロ未満という状況を把握できました。渋滞対策による改善効果の検証手法として活用できることが確認されました。

今後の課題

 スマート通学大実験によりキャンパスMaaSが琉球大学周辺の渋滞対策や駐車問題の解決策として効果のあることが検証できました。しかし、今後の導入に向けては、地元自治体や関係事業者との調整、琉球大学として持続可能な取り組みとするための制度設計などの課題があります。
 今後はこれら課題の解決に向け産官学が連携し、キャンパスMaaSの早期導入に向けた取り組みを開始する予定です。